Hildebrandslied – ヒルデブラントの歌

 Hildebrandslied(ヒルデブラントの歌)は8世紀頃に当時のドイツ語で、現在の上部イタリアにおいて成立したと推測されている口伝の伝統的頭韻英雄詩です。とはいえ実際のところ、詩自体がどこで、そしていつ成立したかは判明していません。現存している写本は、フルダ修道院で(恐らく)9世紀前半に東フランク方言に翻訳され二人の書き手により書かれた写本ですが、一部は不慣れであったでろう古ザクセン語が用いられています。なぜ中途半端に古ザクセン語を用いたのか定かではありません。古ザクセン語への翻訳はこの書き手らが行なったのではなく、書き写した写本原本ですでに古ザクセン語が混じっており、それをそのまま書き写したという説があります。
 作品内容は完全に伝承はされておらず、文中の一部や、肝心の結末が抜け落ちています。その後の関連がありそうな作品から、ヒルデブラントがハドゥブラントを最終的には殺してしまう結末であったであろうと考えられています。


2° Ms. theol. 54. Bl. 1r und 76v: Universitätsbibliothek Kassel.

ヒルデブラントの歌

私は次のことが語られることを聞いた。
ヒルデブラントとハドゥブラントが、父(Hilti)と子(Hadu)の両軍の間で彼らが互いに単騎で相対する事を。
[5]彼らは武具を整え、甲冑を用意し、身に、その甲冑の上に剣を巻いた。
それから彼らは戦いへと馬を駆けた。
ヘリブラントの息子であるヒルデブラントは言った。彼は年長のものであり人生で経験を積んだ男であったからだ。彼は僅かな言葉で父が誰であるかを尋ねた。
[10]群衆の中で …
「あるいはお前はどの民族の者であるのか?お前が私に一人の名前を言えば私は他のものを知るのである。若き子よ、私はこの国において全ての民を知っている。」
ヘリブラントの息子であるハドゥブラントは言った。
[15]「我々の民は、年老いて聡明なかつて生きていたその人が我の父であり、名をヒルデブラントという事を、我に語った。我はハドゥブラントという者だ。
かつて彼はオドアケルの敵意から逃れるために、この地よりディートリヒやその他の従者とともに東へと向かった。
[20]彼は国に幼子と妻を家に残した。その子は遺産を全て取り去られている。そうして彼は東へと馬を駆けたのだ。
それ以来、ディートリヒ1恐らくディートリヒ。friuntloas manが誰を指しているのは実際には不明とされている。に友がいなかったが故に我が父はディートリヒにとって欠かせぬ存在となったのだ。
[25]彼はオドアケルをひどく憎んでおり、彼はディートリヒにとって最も良き従者であった。
彼は常に先軍に立ち、そして戦いは彼にとって良いものであった。彼は勇敢な人の間で有名であった。
我は彼が未だに生きているとは思えない。」
[30]ヒルデブラントは言った。「私は神に誓って言うが、やはりお前がこのように親類の者と戦うことはない。」と。
そして彼は金貨でできた腕輪からリングを一つ捻じりとり、そして王であるフンの君主が彼にそれを与えた2ゲルマンの風習において、贈り物は平和/和平化の中心的な物でありました。
「私はお前に慈悲故にこれを与えよう。」
ヒルデブラントの息子のハドゥブラントは言った。「槍を持って贈り物を受け取るのが男としては相応しかろう。槍先には槍先を…。
お前はフンの老耄であり、ひどくずる賢いやつだ。[40]お前は我を言いくるめ、そして槍を我に投げつけるつもりであろう。お前は人を騙し続けるような年老いた男だ。
西から地中海を越え船乗りたちは我に語ったのだ。戦いが彼を殺したと。ヘリブラントの息子のヒルデブラントは死んでいると。」
[45]ヘリブラントの息子のヒルデブラントは言った。「なるほどお前の武装から見て取れる。お前が故郷で良い君主を持っていると、そして未だにその国から追放されていないと。」
「あぁ嘆かわしい、神よ」ヒルデブラントは言った。「不幸が生じる。[50]私は60の冬と夏の間に国外で流離っていた。そこでは私は従軍していたのであるが、いずれの街においても殺されることはなかったのである。
今や愛する子は私は剣で斬るのか、彼の剣で私を斬りつけるのか。それとも私が彼を殺すのであろうか。
[60]しかしお前にそれをする気があるのであれば簡単にそれをするであろうな。もしお前が何かしらの権利を手にするというのであれば、このように、この老いぼれた男より武装を奪い取ることなど。」
「しかし最も臆病な者であるな」、ヒルデブラントは言った。「東の人々で、お前は一騎打ちを欲しているにも拘らず、その戦いを拒む者は。
[60]試してみよ。今日、その装具を捨てられるか否かを。あるいは、この2つの装具を奪えるのかを。」
そうして二人は鋭い武具、槍を携えて馬を駆け、そして槍が盾に突き刺る。
[65]その後、そして互いに盾を音を立てて殴り合った、
激しく白い盾(=シナの盾)を切りつけ、彼らの盾が小さく粉々になるまで(切りつけ殴りあった)。
剣を持って打ち砕く…。

Lesung: Hildebrandslied – Althochdeutsch – Lay of Hildebrand

Hildebrandslied

底本、Braune(1962, S.84ff.)。

Ik gihorta đat seggen,
私はそれを語るのを聞いた、
đat sih urhettun   ænon muotin,
挑戦者らが互いに個々で出会うのを、
Hiltibrant enti Hađubrant   untar heriun tuem.
ヒルデブラントとハドゥブラントが、両軍の間で。
sunofatarung iro saro rihtun.
子と父の(両軍の間で)。 彼らは彼らの武装を整えた。
5.garutun se iro guđhamung,   gurtun sih iro suert ana,
彼らは彼らの戦闘着を用意をして、彼らの剣を身に巻いた、
helidos, ubar hringa,   dô sie to dero hiltiu ritun,
その男らは、甲冑の上に。 それから彼らは戦いへと馬を走らせた。
Hiltibrant gimahalta [Heribrantes sunu]:   her uuas heroro man,
ヒルデブラントは言った[ヘリブラントの息子(であるヒルデブラント)が]: 彼は年長の者であり、
ferahes frotoro;   her fragen gistuont
人生で経験を積んだ男であった; 彼は尋ね始めた。
10.fireo in folche,   ……………
群衆の中で、 …
……………   ‘eddo hwelihhes cnuosles du sis.
… 「あるいは、お前はどの民族に属しているのか。
ibu du mi enan sages,   ik mi de odre uuet,
お前が私に一人(の名)を言うのであれば、 私は他のものを知る、
chind, in chunincriche:   chund ist mir al irmindeot‘.
子よ、王国において: 私は民を全て知っている。
Hadubrant gimahalta,   Hiltibrantes sunu:
ハドゥブラントは言った、ヒルティブラントの息子の:
15.‘dat sagetun mi   usere liuti,
「それを私に、我らの民は語った、
alte anti frote,   dea erhina warun,
年老い聡明な、かつて生きていた(その人々が)、
dat Hiltibrant hætti min fater:   ich heittu Hadubrant.
私の父はヒルデブラントと呼ばれていた事を: 私はハドゥブラントである。
forn her ostar giweit,   floh her Otachres nid,
かつれ彼は東へと行った、彼はオドアケルの敵意から逃れた、
hina miti Theotrihhe   enti sinero degano filu.
ここからディートリヒや彼の多くの従者らと共に。
20.her furlaet in lante   luttila sitteninf.
彼は国に子供を置き去った
prut in bure,   barn unwahsan,
(彼の)嫁を家に、未だ生まれぬ子を、
arbeo laosa:   her raet ostar hina.
遺産を取り去って: 彼は東へと馬を駆けた。
des sid Detrihhe   darba gistuontun
故に以来、ディートリヒを欠くことはできなくなった
fatereres mines:   dat uuas so friuntlaos man.
私の父の: それ(ディートリヒ?)はたいそう友がいない男であった。
25.her was Otchre   ummet tirri,
彼はオドアケルをとても憎んでおり、
degano dechisto   miti Deotrichhe.
ディートリヒにとって従者で最も好ましいものであった。
her was eo filches at ente:   imo was eo fehta ti leop:
彼は常に軍の先頭にいた: 彼にとって常に戦いは好ましいものであった:
chud was her …   chonnem mannum.
彼は知られていた… 勇敢な男として。
ni waniu ih iu lib habbe‘ …
私は彼が未だ生きているとは思わない」…
30.‘wettu irmingot[quad Hiltibrant   obana ab hevane,
「私は天上の神を証人とするが[ヒルティブラントは言った。]、
dat du neo dana halt mit sus sippan man
お前がそれでもやはり、そのように親類と
dinc ni gileitos‘ …
戦うことはない」…
want her do ar arme   wuntane bauga,
その時、彼は腕から束ねられたリングをもぎっとた、
cheisuringu gitan,   so imo se der chuning gap,
金貨でできた、 そして彼にそれをその王は与えた、
35.Huneo truhtin:   ‚dat ich dir it nu bi huldi gibu‘.
フンの主が: 「私はお前にそれを慈悲故に与えよう。」
Hadubrant gimahalta,   Hiltibrantes sunu:
ハドゥブラントは言った、ヒルデブラントの息子の:
‚mit geru scal man   geba infahan,
「槍をもって男は贈り物を受け取るのがふさわしいだろう、
ort widar orte.   …
槍先には槍先を。 …
du bist dir alter Hun,   ummet spaher,
お前は年老いたフン族であり、ひどくずる賢いやつだ、
40.spenis mih mit dinem wortun,   wili mih dinu speru werpan.
私をお前の言葉で説得をし、私にお前の槍を投げつけるつもりだろう。
pist also gialtet man,   so du ewin inwit fortos.
お前はやはり年老いた男だ、お前が永遠に(人を)騙し続けるような。
dat sagetun mi   seolidante
それを私に船乗りは語ったのだ、
westar ubar wentilseo,   dat inan wic furnam:
西側から地中海を超えて、彼を戦いが奪い取った事を。
tot ist Hitibrant,   Heribrantes suno‘.
ヒルデブラントは死んでいる、ヘリブラントの息子の。」
45.Hiltibrant gimahalta,   Heribrantes suno:
ヒルデブラントは言った、ヘリブラントの息子の:
‚wela gisihu ich in dinem hrustim,
「なるほど、お前の武装より見て取れる、
dat du habes heme   herron goten,
お前が故郷で良い主を持っている事が、
dat du noh bi desemo riche   reccheo ni wurti‘. –
お前が未だにその国に置いて追放者になっていない事が。」
‘welga nu, waltant got [quad Hiltibrant],
「嘆かわしいかな、神よ[ヒルデブラントは言った]、
50.ih wallota sumaro enti
私は流離った、
wintro   sehstic ur lante,
60の夏の冬の間を、国外で、
dar man mih eo scerita   in folc sceotantero:
そこで人は私を常に加えた、先遣隊に:
so man mir at burc enigeru   banun ni gifasta,
人が私にどこかしらの街で死を与える事なく。
nu scal mih suasat chind   suertu hauwan,
今や私を愛する子供は剣で斬りつけるのか、
breton mit sinu billiu,   eddo ih imo ti banin werdan.
彼の剣で斬るのか、それとも私は彼にとっての殺人者となるのか。
55.doh maht du nu aodlihho,   ibu dir din ellen taoc,
しかしお前は今や簡単になす、もしお前の勇気がお前にそれをさせるのであれば、
in sus heremo man   hrusti giwinnan,
このように老いた人より武具を勝ち得ることなど、
rauba birahanen,   ibu du dar enic reht habes‘.
装具を奪い取る、もしお前が何かしらの権利を手にするのであれば。」
‚der si doh nu argosto [quad Hiltibrant]   ostarliuto,
「いやしかし最も臆病な者であろう[ヒルデブラントは言った]東の人々の中で、
der dir nu wiges warne,   nu dih es so wel lustit,
お前に対し戦いを拒む者など、今やお前はそれを欲しているのであるのに、
60.gudea gimeinun:   niuse de motti,
一騎打ちを: 試してみよ、
hwerdar sih hiutu   dero hregilo rumen muotti,
今日、その装具を捨てられるかを、
erdo desero brunnono   bedero uualtan.‘
それかこの2つの装具を支配しうるか否かを。」
do lettun se ærist   asckim scritan,
そうして彼らはまず槍を携え馬を駆けさせた、
scarpen scurim:   dat in dem sciltim stont.
鋭い武具を: そしてそれは盾に突き刺さった。
65.do stoptun to samane   staim bort chludun,
それから彼らは互いに盾を音を立てて殴り合った、
heuwun harmlicco   huitte scilti,
激しく白い盾を斬りつけた、
unti im iro lintun3Schild aus Lidenhorz.   luttilo wurtun,
彼らの盾が小さく粉々になるまで。
giwigan miti wabnum   …
剣でもって打ち砕く…。

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